061987 ランダム
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羽根と私とフワフワと。

羽根と私とフワフワと。

きみを守る腕




愛しい君のために





強くなろうとしてる





お願いだから 俺だけを見て










きみを守る腕






「あーあ。つまんない!」
ハイウインドのティファの部屋では、ティファがベットにダイブしたところだった。
「クラウドは、ヴィンセントとシドと一緒に言っちゃったし!あーあ・・・」

しばらく窓の外を眺めていると、ドアがキィと音をたてた。
音のした方を見ると、シドが居た。
「よう。それにしても、ドアに鍵もかけないのかよ?お前も女ならちゃんとしろ」
タバコをくわえながら偉そうに喋るシド。
「あれ?シド?もしかして、クラウド帰ってきてるの?」
わくわくしながら、シドにティファは言った。
「いんや、ユフィと入れ替わりだ」
その言葉を聴くと、ティファは肩を落とす。

シドはハァとため息をついた。
「そんなにクラウドが好きなら、好きって言えばいいだろうが」
「・・・できないもん」
枕を抱きしめながらティファは、ベットに倒れこむ。
「なんでだよ?」
シドが吸い終わったタバコを携帯灰皿に入れながら聞いた。


「・・・・・・クラウドは、エアリスが好きなのよ。そして、エアリスも・・・クラウドの事――――――」


シドは眼を開く。
「・・・俺はエアリスって子の事は知らないけどな。思い違いじゃないのか?」
「だって、クラウド・・・エアリスが死んだ夜、泣いてた」
「そりゃ、仲間だったからだろ。本当に大切な仲間だったからだろうが」
「でも、エアリスは確実にクラウドが好きだったのよ」
「ティファはやつのことどう思うんだよ?」
「・・・・・・好き、よ。でも、クラウドは想いを受け取ってくれないわ」
枕に顔を埋めるティファ。

すると、シドは新しいタバコをくわえ、火をつける。
シドはゆっくりとティファに接近した。


「ティファ、こっちむけ」


ティファがゆっくりとシドの方を向いた瞬間、シドはタバコの煙をティファの顔面めがけて吐いた。
ティファは眼をぎゅっと瞑り、咳き込む。
シドはひょうひょうとした表情で、タバコをくわえなおした。

「おいおい、ティファさんよぅ。そんなんじゃ、クラウドさんを捕まえらんねぇぜ」
「・・・・・・げほっ。だ、から・・・」
「お前がそんな女だったなんてクラウドが知ったら、やつは絶対に悲しむな。ま、俺には関係ねぇけどよ」
「ちょっ、シド!」


ふっと背中をティファに向けて、ドアの方を見るとシドの正面にはクラウドが居た。
ティファは硬直した。

「おう、クラウド。ずっと居たんだろ。早く出てくりゃよかったのに」
タバコの煙を窓に向かって吹く。
「・・・ユフィが怪我をしたんだ。だから、とりあえず薬をハイウインドに取りにこようと思っただけだったからな」
「おーおー。薬ならキッチンの冷蔵庫の上にあるの、知ってんだろうが。俺でさえ知ってるのに、なんでティファの部屋に来る必要があるんだ?」
「関係ないだろ。あんたこそ、なんでこんなとこに居る?」


「ティファが好きだから、っつったらどうする?」


ティファは枕を落とす。
クラウドは表情を変えずにいた。


「・・・そんな気はしてた」


クラウドはいつもの様に冷たく言い放つ。

「ほう。そうか・・・」
シドはタバコを手に持ってティファの方に眼を向ける。
「ティファ、またあとでな。俺はそろそろ艦内調査に行ってくる」
「あっ・・・うん・・・」
下を向いて静かにティファは答えた。
シドはクラウドにまたあとでな、と言って部屋を出て行った。


無言の時間が流れる。


「あの・・・」
最初に声を発したのは、ティファだった。
「なんだ?」
いつものように淡々と答えるクラウド。
「・・・聞いてた?」
「ああ」
「・・・・・・・・・そう・・・」
「なんで落ち込む必要がある?」
「だって・・・」


「俺は、ティファが好きじゃない」
ティファは身体が急に震え出した。


『俺は、ティファが好きじゃない』


クラウドに言われたくなかった言葉。
言ってほしくなかった、言葉。

「今のあんたは、ティファじゃない」
クラウドは部屋を出て行った。
ティファはとても胸を痛めた。


あたしは 貴方が好きなのに

でも 貴方は言った


あたしを 好きではないと


シドはキッチンの椅子に座って天井を見詰めていた。
ただただ、無言のまま。


つかつかと足音が聞こえると思うと、クラウドが歩いてきた。
クラウドは冷蔵庫の上の救急箱を手にし、シドの座っている椅子のあるテーブルに箱をたたきつけた。
そうとうイライラしている顔立ちをしている。


「おう、クラウド」
「なんだ」
「なんだじゃないだろ。救急箱壊すなよ」
「そんなことわかっている」
「・・・素直じゃねぇな、お前ら」
「うるさい」
ガサガサと救急箱をあさるクラウド。

「薬の事なら、ティファに聞くのが早いぞ」
「うるさいんだよ、あんたは黙っててくれないか」
「折角親切にキッカケつくってやろうとしてんのによ」
「そんなにティファが心配なら、あんたが行ってやったらどうだ」
「あいつはお前、クラウド・ストライフじゃないと納得しねぇんだよ」

クラウドは手を止める。
そして、シドをじっくりと睨む。

「なら、なんであんな事言ったんだ」
クラウドはシドに言った。
「好き、と言っただけだ」
「だから、なんで言ったんだと言ってるんだ!」
「俺は仲間として、の意味だ。ティファを自分のものにしよう、とかそういう好きじゃねぇよ」
クラウドは右手で包帯を握り締めて硬直した。


「・・・は?」
「だから、恋愛感情なんてねぇよ」
「・・・・・・騙したな」
「騙したつもりはない。からかっただけだ。お前が後ろに居たのはずっと知ってたからな」
クラウドは首を左右に振って、肩を落とした。
すると今度は顔を真っ赤にした。

「ティファに俺がティファを好きだって言うなよ!」
「・・・がきか、お前は」
「ああああっ、ティファになんて言って謝ればいいんだ!」
「しらん。自分でまいた種は自分でなんとかしろ」


クラウドは廊下をドタバタ走りながら、ティファの部屋を目指した。
ちょっとした、嫉妬だった。
そして、自分を信じてくれていない事に腹を立ててしまったのだ。
まぁ、告白もまだだからしょうがないのだが。


「ティファ!」
ティファは窓を眺めていた。
ゆっくりとこっちを向くティファ。

「・・・クラウド、なんの用なの?」
「ティファ、ごめん。俺、ちょっと勘違いして・・・」
「・・・・・・あたしの事、嫌いでしょ?」


『あたしの事、嫌いなんでしょ?』


幼い頃、言われたことのある言葉。
あの時と、重なる。


「好きだ、ティファ」
「・・・今更、何言ってるのよ」
「聞いてくれ、ティファ」
「嫌よ、あたしはティファじゃ・・・ないんでしょ」
「聞いてくれ、頼むから」
「嫌・・・」
「頼む!聞いてくれ、ティファ!!」
クラウドはティファを力いっぱい抱きしめる。
「・・・な・・・・・・に・・・・・・・・・」
「聞いてくれ・・・」


「俺は、俺は・・・ティファが好きだ」


クラウドはティファの耳元で囁く。
そして、腕の力を緩め、ティファから腕を放す。
ティファは脱力して、床に座り込んだ。


「クラウドは、ずるい、よ」
ティファはクラウドに叫んだ。
「だって、あたしは・・・クラウドがエアリス好きだと思ってたから、言えなかったんだよ!そう簡単に・・・好きなんて言わないで!嘘とか慰めとか要らない!だから・・・!!」
「嘘なんて・・・ついてない」


「エアリスは、本当に大切な仲間だった・・・だから、死んでしまった時、とても悲しかった」
手を拳にするクラウド。
「俺にかかわったばっかりに・・・・・・俺が弱かったばっかりに・・・・・・・・・だから、決めたんだ」
青い瞳の奥で、切ない色を浮かべる。


「この、両腕で・・・今度こそ大切なものを守ろうって」


「でも、まだ俺は弱い。だから、ティファをあんまり旅に連れて行ってやりたくない」


「怪我をさせたくない。辛くて悲しい思いもさせたくない。だから、一緒に連れて行きたくない」


「なぁ・・・俺はティファが好きなんだ」


「俺は・・・・・・世界が平和になったら、ティファと一緒にいようって思ってる」


「2人だけの世界。誰も入ってこられない・・・それくらい、ティファを愛してる」


ティファは目線を下に向けたまま、黙って聞いていた。
ティファの部屋には、静かなクラウドの声しか響かない。
しばらく経ったあとティファが口を開いた。


「―――――――――2人だけの世界って、嫌」
ティファは怒ったような表情で、クラウドを見た。
「・・・そっか、悪い」
クラウドは苦笑して、頭をかく。
ティファはクラウドの右腕を、両手で包み込んだ。


「2人だけの世界だったら・・・あたしを守ってくれる腕は、必要なくなっちゃうでしょ?」


にこっとティファが笑うと、クラウドもつられて笑った。
「・・・そう、だな」





だから もっともっと 強くなりたい





幼い頃に願った





君の 笑顔の為に


(~管理人のコメント~)
微妙に幼少時代の続きっぽい感じ。
読んでない人は、幼少時代を読んでからの方がいいかも。
長くなってしまった;
ロビンソン聞いてて、思いついた。
H17/9/24


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